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二
「まあ、何の実なんでしょう。こんなのは今まで見たことないわ!」
家に帰って、不思議な実をママに見せると、ママは驚いてそう言いました。
ママは実に鼻を近づけてにおいを嗅ぐと、
「たしかに、いいにおいがするわねえ。リンゴのようで、モモのようで。でも少し違う。いったい、何なんでしょう」
ヘレンはママにたずねます。
「ねえ、ママ。この不思議な実、食べてもいいの?」
「うーん……。ママもこんな実は初めて見たから、わからないわ。パパが帰ってきたら、聞いてみましょう」
夕方、パパが鍬を担いで帰ってきました。
ヘレンは早速、不思議な実をパパに見せました。
「何だろう、これは。こんな実は今まで見たことない。森の木になってたのかい?」
ヘレンはうなづいて、
「コロちゃんが見つけたんだよ」と言いました。
「そうか、犬のコロちゃんは鼻がいいからな」
ちなみにコロちゃんは、いまだに実を食べられないので拗ねてしまっています。
「食べていいかどうか、食べてみればわかるじゃないか」などと言っているのです。
パパは、
「こりゃ食べられるものなのか、毒入りなのか、パパにもわからん。あしたの朝、村の名主さんのところに行って聞いてみよう。だから、まだ食べちゃだめだよ」と言いました。
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