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「まあ、何の実なんでしょう。こんなのは今まで見たことないわ!」 家に帰って、不思議な実をママに見せると、ママは驚いてそう言いました。 ママは実に鼻を近づけてにおいを嗅ぐと、 「たしかに、いいにおいがするわねえ。リンゴのようで、モモのようで。でも少し違う。いったい、何なんでしょう」 ヘレンはママにたずねます。 「ねえ、ママ。この不思議な実、食べてもいいの?」 「うーん……。ママもこんな実は初めて見たから、わからないわ。パパが帰ってきたら、聞いてみましょう」 夕方、パパが(くわ)を担いで帰ってきました。 ヘレンは早速、不思議な実をパパに見せました。 「何だろう、これは。こんな実は今まで見たことない。森の木になってたのかい?」 ヘレンはうなづいて、 「コロちゃんが見つけたんだよ」と言いました。 「そうか、犬のコロちゃんは鼻がいいからな」 ちなみにコロちゃんは、いまだに実を食べられないので拗ねてしまっています。 「食べていいかどうか、食べてみればわかるじゃないか」などと言っているのです。 パパは、 「こりゃ食べられるものなのか、毒入りなのか、パパにもわからん。あしたの朝、村の名主(なぬし)さんのところに行って聞いてみよう。だから、まだ食べちゃだめだよ」と言いました。
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