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三
翌朝、ヘレンとパパは、さっそく村の名主さんの家に行きました。
名主さんは歳を取ったおじいさんで、村一番の物知り博士です。
ヘレンは不思議な実を名主さんに手渡しました。
名主さんは老眼鏡のズレを指先で直しながら、
「何だ、これは。こんなものは見たことない。森にあったのかい?」と言いました。
ヘレンはうなずきました。
パパが名主さんに言います。
「はたして食べていいものかどうか……。わたしには判断しかねますので、名主さんに相談にまいったのです」
「なるほど、なるほど。しかし、わしもこんなものは見たことないから、軽々に『食べてもいいよ』などと言うことはできん。万が一のことがあったら、責任は負いきれん。わからん以上は、食べんほうが得策じゃろう」
「そうですか……」
ヘレンはとても残念に思いました。
「そうだ!」いきなり名主さんが言いました。
「どうしたんですか?」パパがたずねます。
「今日、街のお医者さんがうちに往診に来てくれることになっておる。もう間もなく来るじゃろう。お医者さんなら何か知っておるかもしれん。お医者さんに聞いてみよう!」
「それは名案だ!」パパが言いました。
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