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六
王宮にて、領主さまは国王さまに会いました。
そして不思議な実を国王さまに献上しました。
「国王さま、これは最近我が領地で発見された新種の木の実でございます」
国王さまを不思議な実を右手に持ち、左手で自分のヒゲをさわりながら、
「ほう、こんなものは見たことがない。早速食べてみよう」と言いました。
国王さまが不思議な実をかじろうとしたところで、
「お待ちください、国王さま」と領主さまが言いました。
「なんじゃ?」
「なにぶん、新種のものでございますから、ひょっとしたら毒があるやもしれませぬ。領地の村のほうでも、はたしてこの不思議な実を食べていいのかどうか、決めかねておるようです。万が一、毒が入っていた場合、たくさんの人が死ぬことにもなりかねません。なので、この不思議な実を食べてよいのかどうか、最高責任者である国王さまに決めていただきたく思って、本日こちらに持って参ったわけです」
国王さまはうなずきながら、言います。
「なんだ、そうだったのか。要するに、毒が入っておるかどうか調べればよいのであろう。わしがいかに国王であろうと、それを調べる能力はない。王立アカデミー研究所のほうにまわして、専門家に調べさせればよかろう。こういうものは、専門家の言うことを聞くのがいちばんじゃ。専門家ならば、この不思議な実の正体をすぐに言い当てるに違いない」
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