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そのころ村では、ヘレンとパパとママは、毎日不思議な実を食べていました。 不思議な実は、においから想像したとおり、とてもおいしい味がしました。ヘレンの家族だけではなく、村のみんなも不思議な実を楽しんでいました。 不思議な実は、コロちゃんが発見したということで、いつの間にか「コロちゃんの実」と呼ばれるようになっていました。 村では、いつまで経ってもこの不思議な実を食べてもいいのかどうか決まらないので、誰もがとうとう我慢できなくなって、食べてみようということになったのです。 もちろん不思議な実には毒など入っていませんでした。 しかしこの不思議な実はとても傷みやすいので、木からもいだら少なくとも二日のうちには食べてしまわないといけません。何日も経ってしまうと、口の中に入れると少しだけピリピリして、どうやら悪くなってしまうようなのです。ためしに、もいでから一週間が経った実をネズミに食べさせてみれば、ネズミはたちまち死んでしまいました。 でも、もぎたての不思議な実は、リンゴよりもモモよりもナシよりも甘くてみずみずしくて、とてもおいしいのです。 ヘレンは今日もコロちゃんと森に行って、コロちゃんの実を食べることしました。
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