4人が本棚に入れています
本棚に追加
一日目 梅という人
10月1日、晴れ。
梅という人はお節介な人間だということがわかった。
僕が一人本を読んでいたら、おすすめの本を薦めてきた。
だけど、僕はそれを読もうと思わなかったけど、それでも、彼女の悲しむ顔は見たくなくて、僕は仕方なくそれを読んでいた。
読み終えると、手紙に「面白かったです」とただそれだけ書いて、お母さんに手紙を渡してもらおうように言って。
自分の部屋に帰った。
しばらくすると、梅は僕の部屋に入ってきて、抱きついてきた。
その温もりが、懐かしく感じて泣き出してしまいそうになった。
10月2日、曇り。
僕が学校から帰ってくると、見慣れない靴があった。誰か客人が入っているのだろうと思い、「ただいま」と言って玄関で靴を脱いで上がっていった。
すると、リビングから梅さんの楽しそうな声が聞こえてきた。
少し嫌な気持ちになった。
リビングを少し開けると、男が陶芸品を持ってきていた。
金色の長髪に、眼帯をしている男だった。
「梅さん、誰ですか」
僕は耐えきれずに聞いた。すると、梅さんは当然のように男を紹介した。
「幼馴染の高岡海斗さんです」
「よ、お前が噂の」
言葉が聞こえなかった。梅の嬉しそうな顔、少し赤らんだ頬。
「僕、少し部屋に行きます」
「え、湊人!」
10月3日、雨。
僕は学校に行かなかった。
体調が悪いと言った。だから、僕は部屋でゴロゴロとしていた。
別に学校に友達いないし、心配してくれる人なんて誰もいなかった。
ただ、頭にこびりついているのは。
あの人の嬉しそうな顔。
僕の前では絶対にしない顔、考えれば考えるほど皮肉に思ってしまう。僕なんかが笑顔にさせることなんてできない。
そんなのわかりきっている。
ドアがノックされ、僕は返事を返した。どうせ母親だろう。
「大丈夫ですか?」
意外な人物の声だった。
梅さんの声だ、僕は「開けていいですよ」と言った。
梅さんはドアを開けて、僕を見つめてくる。心配している顔だった。そんな純粋な目で見ないでほしい、汚い僕の心を見透かしているような目で見ないで。
「梅さんも学校休んだんですか」
「湊人が体調悪いって聞いたので」
頭を撫でられた。
僕は勇気を振り絞って聞いた。
「あの人とは、恋人関係なんですか」
そう聞くと、梅さんはまた顔を赤らめながら。
「まだわかんないですよ」
「じゃあ、僕にもチャンスありますね」
そう小さい声で言ったので、梅さんの耳には入っていなかった。
幼馴染とかなんだとかわかりませんが、彼よりもいい男になって、梅さんと付き合おう。
そう決めた。
最初のコメントを投稿しよう!