一日目 梅という人

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一日目 梅という人

 10月1日、晴れ。  梅という人はお節介な人間だということがわかった。  僕が一人本を読んでいたら、おすすめの本を薦めてきた。  だけど、僕はそれを読もうと思わなかったけど、それでも、彼女の悲しむ顔は見たくなくて、僕は仕方なくそれを読んでいた。  読み終えると、手紙に「面白かったです」とただそれだけ書いて、お母さんに手紙を渡してもらおうように言って。  自分の部屋に帰った。  しばらくすると、梅は僕の部屋に入ってきて、抱きついてきた。  その温もりが、懐かしく感じて泣き出してしまいそうになった。  10月2日、曇り。  僕が学校から帰ってくると、見慣れない靴があった。誰か客人が入っているのだろうと思い、「ただいま」と言って玄関で靴を脱いで上がっていった。  すると、リビングから梅さんの楽しそうな声が聞こえてきた。  少し嫌な気持ちになった。  リビングを少し開けると、男が陶芸品を持ってきていた。  金色の長髪に、眼帯をしている男だった。 「梅さん、誰ですか」  僕は耐えきれずに聞いた。すると、梅さんは当然のように男を紹介した。 「幼馴染の高岡海斗さんです」 「よ、お前が噂の」  言葉が聞こえなかった。梅の嬉しそうな顔、少し赤らんだ頬。 「僕、少し部屋に行きます」 「え、湊人!」  10月3日、雨。  僕は学校に行かなかった。  体調が悪いと言った。だから、僕は部屋でゴロゴロとしていた。  別に学校に友達いないし、心配してくれる人なんて誰もいなかった。  ただ、頭にこびりついているのは。  あの人の嬉しそうな顔。  僕の前では絶対にしない顔、考えれば考えるほど皮肉に思ってしまう。僕なんかが笑顔にさせることなんてできない。  そんなのわかりきっている。  ドアがノックされ、僕は返事を返した。どうせ母親だろう。 「大丈夫ですか?」  意外な人物の声だった。  梅さんの声だ、僕は「開けていいですよ」と言った。  梅さんはドアを開けて、僕を見つめてくる。心配している顔だった。そんな純粋な目で見ないでほしい、汚い僕の心を見透かしているような目で見ないで。 「梅さんも学校休んだんですか」 「湊人が体調悪いって聞いたので」  頭を撫でられた。  僕は勇気を振り絞って聞いた。 「あの人とは、恋人関係なんですか」  そう聞くと、梅さんはまた顔を赤らめながら。 「まだわかんないですよ」 「じゃあ、僕にもチャンスありますね」  そう小さい声で言ったので、梅さんの耳には入っていなかった。  幼馴染とかなんだとかわかりませんが、彼よりもいい男になって、梅さんと付き合おう。  そう決めた。
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