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「どういうつもりだ!」
「うーん、盗めなかったか。それじゃあプランBだ」
投げつけた雲を物ともせず、奴はガサゴソと何かを探している。振り返ったその手には、足枷が握られていた。
「じゃじゃーん。昔666番が夢を喰い荒らした時に使った足枷! いやあ懐かしいねえ」
「俺に使おうってか」
「病んでる奴みたいに思わないでね!? 皆の総意だ。あの青年が死ぬまで大人しくしておくれよ。人間の一生なんて、僕らの1日みたいなものだろう?」
皆の総意、それはきっと事実だろう。なんだかんだで俺の事が心配なんだ。俺はゆっくりと奴に歩み寄って、足枷を手に取った。
「……お前の首、ほっそいな」
「え?」
ガチャンと音を立てて、足枷は831番の細く長い首に巻きついた。
「人間の1日なんて、俺らの一瞬みたいなもんだろう?」
俺の名を呼ぶ友の声が聞こえる。また明日、そう返す気にはなれなかった。
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