第二十三話 メルヘン男の正体

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第二十三話 メルヘン男の正体

いつのまにか、私は一人で真っ白な雲の上に立っていた。空は青空で、清々しい気持ちだ。 ミカエルも、奏も誰もいない。 手には、七色に光る分厚い本を持っていた。 ――大天使、アズラエルのノート。 メッセージの正体だった。 目の前に、フロントにいた、あのメルヘンチックな男だけが、こちらを見てニンマリと笑っている。 一つだけあの時と違うのは、男がメルヘンな服装ではないということだ。 男は、真っ白な羽衣を着ていた。 あの時見た――神の正装。 頭に光る輪っかが、男の美しい銀髪を照らす。 「おめでとう。君は見事、試練をクリアできた。 よくがんばったね」 神が、そう言って、私の頭を優しく撫でてくれる。 「あ、貴方が――主神様…だったのですか?」 私は目を見開いてメルヘンチックな男、いや神を見た。 その姿は、思い描いていたイメージとかなり違っていたから。
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