第二十三話 メルヘン男の正体

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神がおどけるように言ってみせる。 「ミカエルみたいな堅物でも想像してたって? ったく、どいつもこいつも神と言ったらそういう。 まじで遺憾だぜ」 まるで神に似つかわしくないその態度に、私は思わず微笑してしまった。 「だって、あまりにも変な格好だったから」 「はあ? あれは俺の唯一の一丁羅だっつの! 神なんてゆうほぼ儲からねえなけなしの金で、わざわざ下界降りて買ったんだぜ?」 その言い方もおかしくて、私は再び笑みをこぼす。 「よくお似合いでした……ふふ」 「かっちーん、お前思ってねえだろ。 それを言うとなぁ! お前だって制服なんてきてたろうが――いや。」 神が途端にニヤリと意地悪い顔になる。 「それより、王子様とのキスはどうだった? 全く無抵抗の人間に、二度もキスしてたよな?」 「それは…っ! 知らなかったんです……。 ーー口づけが真実の愛だなんて。」 「ほほお。博識なお前がねぇ? ま、そういうこと、うとそうだもんな、お前」 「しゅ、主神様だってそうでしょ! こんなことでニヤニヤするなんて、神としてどうなんですか?!」 「アホか。神にだって恋愛は必要だろ」 開き直った様子の神に、私は思わず言葉に詰まった。
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