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それを見て、神はふっと優しく笑う。
「――お前は、大罪を犯した。」
「……はい。」
「懐中時計に、惚れ薬、ルシファー、さらには自殺まで。
全く、呆れを通り越してもはや讃えたいくらいだ」
私は黙ったまま、真っ直ぐ神を見つめた。
ーーもう、逃げないと誓ったから。
「いいか?
惚れ薬はな、人間にはかなり刺激が強い。天使でさえ狂ってしまうくらいだ。
モテないからって、自分で口説けなくてどうする」
「……主神様は、口説いたことあるんですか?」
「あるに決まってんだろ!
老若男女、俺を頼りにしてるぜ」
「……それは、ただの信仰では」
「神の座を借りて何が悪い」
「……。」
なんだか、憎めない神だ。毎回ペースに飲まれてしまう。
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