第二十三話 メルヘン男の正体

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それを見て、神はふっと優しく笑う。 「――お前は、大罪を犯した。」 「……はい。」 「懐中時計に、惚れ薬、ルシファー、さらには自殺まで。 全く、呆れを通り越してもはや讃えたいくらいだ」 私は黙ったまま、真っ直ぐ神を見つめた。 ーーもう、逃げないと誓ったから。 「いいか? 惚れ薬はな、人間にはかなり刺激が強い。天使でさえ狂ってしまうくらいだ。 モテないからって、自分で口説けなくてどうする」 「……主神様は、口説いたことあるんですか?」 「あるに決まってんだろ! 老若男女、俺を頼りにしてるぜ」 「……それは、ただの信仰では」 「神の座を借りて何が悪い」 「……。」 なんだか、憎めない神だ。毎回ペースに飲まれてしまう。
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