第二十三話 メルヘン男の正体

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「あの人間は」 やっと、神が続けた。 「君の自殺後も、惚れ薬によって閉じ込められたまま今まで彷徨っていた。 ミカエルの魂も――。 これは、許されないことだ。」 ちくりと胸が痛んだ。 その痛みはやがて、大きく広がっていく。 分かってはいたが――改めて聞かされると、結構堪えるものだ。 その様子を見て、神がフォローするように話す。 「しかし、彼の辛い人生に同情するその優しい気持ちは、尊敬に値する。 何人もの人間を迎えにいく君の心は、いつまでも健在なようだ」 この人は――。 この人の話し方は、なんだか胸が痛いような、暖かくなるような、そんな話し振りだ。 ルシファーが、言っていた。 『その上情け?』と。
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