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第二十四話 願いはーー
恐らくこの人は、一度間違った人に対して、すぐ切り捨てるようなことはしないのだろう。
私にもう一度チャンスをくれたように、その人が過ちに気づくまで、きっと何度だって、全力で諭しに来てくれる。
あの時の説教だって、いつまでも気づこうとしなかった私に対する、この人なりの優しさだったんだ。
「毎日、何億という人が俺の元を訪れる。
誰かの安否を願う人、自分のために祈る人、己の罪を嘆く人、様々さ。
本当は、誰の願いも叶えてやりたい。
あの人間のような哀れな人たちも全部救ってやりたいが……俺の体は一つしかない。
人間たちは俺のことを万物の神だと言うが、救えてもせいぜい数人くらいだ。
毎日何億とくる嘆きに……何で救ってくれなかったのかという悲痛な嘆きに…何度も……心が折れかけた。
全知全能の神なのに、全員救うことが出来ないのが、口惜しいってな」
神の悲しそうな顔を見た私は、本当は誰よりも心優しい人なのだと思った。
優しいが故に、救えなかった人たちのことを心から後悔しているのだろう。
だからこそ、彼らがここへ来た時、この大きな光で彼らの魂を癒すのだ。
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