第二十四話 願いはーー

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幼い頃の奏のようで、3、4歳くらいだろうか? 誰かの膝の上で、楽しそうに微笑んでいる。 「これは――」 「ジャーン、タラリラリラリーン」 聞きなれた声が、奏の背中を一定のテンポで叩きながら、そう口ずさむ。 知っている。 だって、歌っているのは、私だから――。 「G線上のアリア……」 ミカエルが驚いて、鏡の中で口ずさむ私を見やった。 覚えている。 たしか、奏の最愛の祖母を迎えに行った時に、たまたま小さな男の子が、私に気づいたんだ。 泣きじゃくりながらこちらを見るのに、耐えられなくなって、泣き止ませたんだった。 奏が、覚えててくれたなんて――。 私の両目から、一筋の生暖かい涙がこぼれ落ちる。 ……じゃあ、あの羽は――。
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