15人が本棚に入れています
本棚に追加
「羽を今でも大事に持っているくらいだ。
奏は、知っていただろう?
あの時の天使が、アズラエルだってことをな」
「……最初から気づいていたわけじゃない。
天使の姿になってから、気づいただけ」
「そうかそうかぁ!」
何かを隠すようにニマニマ笑い出す神に、奏は突っかかる。
「何なのその顔。
さっきから言ってるけど、僕は助けてくれなんて頼んでない。
あんただって、記憶を見てたんでしょ?
何度もおんなじ地獄を繰り返すなんて」
「……」
私は、意を決して、奏の前に立つ。
「本当に、ごめんなさい。
誤って許してもらえるようなことではないのは……わかってる。
貴方の傷をどれだけほじくり返してしまったのかも。
だから、せめて、輪廻転生した次の人生を謳歌できるように、次の人生での願い事を何でも言ってちょうだい」
「……」
黙り込んだ奏に、神がボソリと漏らした。
「安心しろ、アズラエル。
奏には毎日願ってたくらい大切な願い事があるぞ。
なぜなら、毎日のように、私に祈りを捧げていたからな!」
最初のコメントを投稿しよう!