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「ああ。来たぜ。君が来るつい前さ。
そして、彼女はこれを渡してくれと、俺に頼んだーー」
神が懐から、ボロボロのぬいぐるみを差し出し、手渡してくれる。
「!!
ああ‥っ! これーー」
「そう。
君が幼い時、母親がプレゼントしてくれたぬいぐるみだ。
彼女は死ぬ間際、それを握りしめていた。」
「どこへ行ったのかと思ってたけどーー。
‥‥最初で最後のプレゼントだった」
ぬいぐるみを受け取りながら、奏の両目から光の粒が零れ落ちる。
それを見て、優しく神が続ける。
「お前にとっちゃ、いい母親じゃなかったかもしれないが、最期はお前を思っていたらしいぜ。
俺の前で大泣きして、どうか死なせないで欲しいと祈るほどにな。」
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