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「!!」
奏がハッと神を見つめる。
負けん気の強い瞳が大きく揺らめいた。
すぐにそれを隠すように俯いて、ぬいぐるみを握りしめる。
「‥‥‥。なんだよ。
もう遅いんだっつーの、何もかもーー」
背けた奏の頬から光の雫が地面に溢れ落ち、それは止まる気配を見せなかった。
グスッグスッと涙する奏に、泣き止むまで神は背中をさすってやる。
「次の人生で、君はまた彼女に巡り会えるだろう。
最上の形でな。
父親も、いずれすぐ会える。
今も、君や母親のことで懺悔しているようだ」
「‥ーーー。許してやんないけどね。
‥‥‥‥‥‥‥‥でも‥‥会えるって、ちゃんと保証してくれんの」
「ああ!
君にぴったりの人物も寄り添うから、何の心配もないさ!」
神が、私を見やった。
「……私は――」
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