第一話 始まり

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第一話 始まり

ザアアアアアーー!!! 大雨が叩きつける真っ暗な崖の上、変わり果ててしまったその人を抱きかかえながら、私の両目から大粒の涙が零れ落ちる。 ーー結局、アズと呼んでくれることさえ叶わなかった彼…。 側の水たまりには、無様にその人を抱えた、雨に打たれて見る影もない私の長い黒髪と、血の気の引いた真っ白な顔が映っていた。 ーーワインレッドのブレザーから生えた、私の自慢の純白の羽は、すでに真っ黒だった。 私は項垂れるようにして、彼の方を見やる。 プライドの高い整った彼の顔はすでに生気がなく、手入れされていた黒髪も、キューティクルが剥がれ落ちていた。 彼を抱きしめると、ふわりと甘酸っぱい、懐かしい匂いが鼻孔に広がった。 ーーもう、その人は目を開けてくれない。 私は、自分が本当に取り返しのつかないことをしてしまったのだと、その瞬間、初めて心から理解した。 体が張り裂けそうなくらい痛い。 ――あの時の代償が、今ようやく来たようだ。
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