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極力安全そうで手堅い婚活サイトに登録し、いくつかは実際に足を運んだ。
正直、そこで安心した部分もあって、あまりガツガツするのもなぁ、と言い訳して自由に過ごしていた。ただ、誰かと話す時は敢えて自分から唐突に伝えることはないけれど、会話に出た時には何気に出会いを取りなしてもらえるようお願いした。
とにかく、出来ることはした。ということだ。
出会いと言う目的のために自分の内を少しさらけ出しただけだったが、副産物もあって会社の同僚との距離が縮まった。
「長谷さんとは今までプライベートな話したことなかったもんね。良かったら帰り、飲みに行かない? 」
そう誘ってもらえるようになった。敢えてしなかったわけじゃなくて、機会が無かっただけなんだけど、会社の人とはあまり交流を持たなかったかもしれないと気が付いた。
「うん。行こう! 」
そこからたまに会社の人とも食事に行く関係になった。同僚、麻生鈴香とはもっと早く話せばよかったと思うくらい馬があった。お互いフリーで境遇も似ていることもあって意気投合。鈴香も私に彼氏がいると思っていたらしい。焦っていない様子にそう思われやすいのだと悟った。
「仕事終わったらすぐ帰っちゃうからさ」
仕事が終わったらすぐ帰るのが当たり前の私は、社内で仲の良い人達は飲みに行ったりしていることを初めて知ったのだった。
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