――土曜日。
ボディメンテナンスに治司さんの元へ訪れていた。
「そうだ、都さん。あの後、そこの白羽さんここにまで菓子折り持ってお礼に来てくれたよ。恐縮しちゃうくらいだわ。無事でよかったね。……あと、事の次第も聞いたので、淳にも口止めして、この話はもう、ね? 」
「はい。そうですね」
「癖のないイケメンなのに、人生色々っすよね」
「淳って、終わり! 」
「や、だからここだけの話、です」
「確かになぁ。穏やかで育ちの良さが出てるような人なのに」
「ねぇ、ちょっとした冗談なんかも言えるし、完璧だけどな。犬可愛いし」
「……お前ね、毎回それ言うな。犬、可愛いな。人なつっこい。美人犬」
私は施術を受けながら二人の会話に同意していた。確かに、完璧で、きーちゃんは可愛い。そう思いながらうとうととしてしまっていた。
「あ、都さん。彼どうです? ほら、独身ですよ」
不意に淳くんがそう言って、私は心臓が跳ねた。一瞬で目が覚めるが、んー?なんて寝ぼけたふりをする。
「確かに、すごい好条件だな。……彼、しばらくは恋愛も結婚もいいかなって言ってたけど。でも、いいんじゃない? 都さん」
「……はは。そんな単純な」
「単純ですよ、男と女なんて。ねえ? 結婚したい男女がそこにいたらちょうどいいわけで」
「しばらくいいっておっしゃってるんでしょ」
私は、自分が否定しないことに気づきながらも、この話題が終わるように祈った。何だかいたたまれないような気持ちだ。幸いに、他の人が来院したおかげでこの話は出来なくなってしまった。
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