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さすがは数多の場数をこなしてきたヴァンパイアキラー。話しが早い。
「そうですね。まず、差出人はおそらく男性のようですね。それと、九割がた"N"です」
「根拠は?」
「日本では、"VC"として目覚めた患者のDNAと指紋を採取し、データベース化してあります。今回の封筒についた指紋は、どれも一致しませんでした」
「なるほど。つまり、あの封筒に触れた全てが"N"か」
「そういうことです。そして付け加えるのなら、過去に犯罪歴のある者もいません。いま、今回の事件の関係者に近しき人物からあたっているようですが……時間がかかるでしょうね」
仲間が犯人を突き止めるのが先か。
犯人が、仕掛けてくるのが先か。
「手紙はあの一度きりです。さほど執着がないともとれますが、あれが"警告"だった場合、既に行動に移している可能性が高いと考えます」
「巧人は、"警告"が有力だと?」
「可能性として考えられるのなら、警戒しておくに越したことはありません。なんせ俺は、護衛ですから」
これで全部だと報告書を戻した俺は、ファイルに収めてカウンター下に滑らせた。
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