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「コーヒーを用意するのは、所長さんなのね」
「機械は苦手でね。上にある所長のデスクには小さな電動シュレッダーがあるんだが、実はつい先ほどそいつをいじったら動かなくなった」
「は!? なんだって!?」
壊したのか!? どうやって!? というか、
「聞いてない!」
「それはそうだろう。今初めて口にしたからな」
「何をしたんです!?」
「いやなに、助手らしく溜まっていたゴミを捨てようと、ダストボックスを外しただけだ。裁断口を持ち上げたら、不幸なことにコードが切れた」
「お心遣いは感謝しますがどんだけ勢いよく引っ張ったんですか…………っ!」
なんてことをしてくれる。あいつ結構付き合い長かったんだぞ。
ショックに項垂れていると、頭上に「……すまん」と弱々しい謝罪が飛んできた。
「巧人は忙しい身だろう? 何か少しでも役に立てれればと思ったんだが、その考えが誤りだったな。……これからはちゃんと、大人しくしている」
罪悪感に下がる眉尻。いつも真っすぐに向け来る紫の瞳が、弱々しく床をさ迷う。
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