もう一人の"家族"

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「さっすが巧人だな! 心が広く、実に慈悲深い! 見苦しい所をお見せしてすまなかったね、シニョーラ。ああ、僕のせいで所長自慢のコーヒーが冷めてしまっては嘆かわしいな。助手であるこの僕が、急いで取りに行ってこよう!」  跳ね上がるようにして席を立った充希が、小走りでカウンターに駆け寄ってくる。 「ふふっ、面白くて素敵な相談所ね、ここは」  楽し気に笑む女性に軽く頭を下げながら、俺は手早くミルクを白い陶器製のミルクピッチャーに移し替えた。 「すみません、騒がしいうえにお待たせしてしまって……」 「いいのよー。ここを出ても家に帰るだけだし、つまらないものだわ。……ここの所長は変人だっていうからどんなもんかと心配してたけど、取り越し苦労だったわね」 「変人……」 「そりゃあね、"N"が"VC"専門の相談屋をするなんて、人によっては"変人"どころか"酔狂"の所業よ。アナタの方がよく分かっているでしょう?」 「まあ、否定は出来ないです」  俺がシュガーポットを並べ置いている間に、慎重な手つきで充希がコーヒーカップをソーサーに乗せた。 「よし、巧人。これでいいな!」
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