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「話しかけてきたのは、そっちだよ。それもさあ、"血を飲んだでしょ"ってさび付いたブランコみてーにキーキーうるさっくて。あんまりにも耳障りだから、噛んじゃった。……ついでにちょっと飲ませてもらったけど、ま、自業自得でしょ」
「……話を聞かせてくれてありがとう。残念だけど、この二件の吸血行為は全て、キミの身勝手な"犯行"だと言わざるを得ない。状況によっては、"VC"に理解のある弁護士を紹介しようかと思ったけど……キミには出来ない。しっかり法の裁きを受けて更生を――」
「ねえ」
「!」
耳横で聞こえた声に、驚いて視線を遣る。
先程まで数メートル先に立ってた須崎が、ニタニタと笑みながら見下ろしていた。
「その手。放したら、その人って死ぬ?」
「……傷口が深いのか、出血の量が多い。何もせずに放っておけば、病院まで持たないかもしれないね」
「ああ、ゴメンね。そういうつもりじゃなかったんだけど、結構イラついてたからさ。……そんでね、実は今も、結構面白くない感じでさ」
「っ」
――ヤバい。
経験から不穏を悟った本能が、警告音を鳴らす。
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