もう一人の"家族"

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「良かったわ。お婆ちゃん相手だからって油断してほいほい話すようじゃあ、信用ならないもの」  どうやら俺は試されていたらしい。鐘盛が年長者の余裕を滲ませて笑む。  と、クツクツ笑みながら俺の隣に腰掛けた充希が、労わるように肩を叩いてきた。 「おめでとう、巧人。試験は無事、合格したようだ」  気付いていたのか、アンタは。だから今の今まで妙に大人しかったのか。  ジト目で見遣りつつも苦言は胸中で押し留めて、俺は鐘盛へと視線を戻した。 「それでは、お伺いしても?」 「ええ、勿論。アタシが探しているのは、栃内紗雪の方よ。あの子、アタシんトコに住んでるのよ。……テレビからあの子の名前が聞こえた時、心臓が止まったわ。それも"VC"に噛まれたなんて。急いであの子に電話したわ。……テレビで報道されているんだもの。紛れもない事実なんだって分かってはいたのよ。それでも、何かの間違いであってほしいと思っちゃったの」  自虐めいた苦笑を浮かべた鐘盛は、自身の指先を柔く擦りながら経緯を話し始めた。
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