望まぬ会遇

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「どっかでさ、一度"生き血"の味を知ったら、"輸血"なんかに戻れないって聞いたことあったけど、それって結構本当っぽくってさ。俺も、正直これから"輸血"だけで我慢できるかって言ったら、微妙なんだよね。どーせ捕まることになるならさ、今のうちに吸えるだけ吸っておいた方が利口ってやつじゃん?」 「……罪を重ねれば、それだけ罪状は重くなるよ」 「どーせ二人三人"吸った"ところで、拘留期間が延びるだけだろ? なかなか老いない"VC"にとっては、十年も二十年も大して痛くないしさ」  俺の首筋を、意味ありげな指がつうとなぞる。 「"VC"相手に相談屋してるんだったら、自分も"VC"になった方がより分かり合えると思わない? ホラ、名案。だからさ、選ばせてあげる」 (考えろ、考えろ、考えろ。出来ることは、選べる手はなんだ) 「"俺達"への愛が偽善じゃないって証明する為に噛まれるか、自分の身かわいさに、その人を見捨てて逃げるか」 (どうする。銃を使うか。いや、それは"最終手段"だ。まだ、他に手が――)  楽し気に笑んだ彼の口内で、鋭利な牙が光る。
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