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了承を呟いた俺に、栃内の疑問の目が向く。
「電話の件、警察の方と交渉してみます。今回は私も関係者ってことで話がしやすくなってますし、栃内さんのご両親の件は、警察も把握されている筈です。鐘盛さんが現在の保護者代わりだと納得してもらえればおそらく――」
「本当ですか!?」
「!」
食い気味に声を上げた栃内に思わず瞠目すると、彼女ははっとしたように「あ、ごめんなさい」と頬を染めた。
どうやら随分とヤキモキしていたらしい。それもそうか。
だって彼女にとっては、鐘盛が、唯一の"心配をかけたくない相手"なのだから。
俺は苦笑気味に「いえ」と告げてから、眉根を寄せた。
「出来る限りのことはしますが、ご期待に添えられるかはわかりません。なので、許可されたらラッキーくらいの気持ちでいてもらえると有難い、というのが本音なのですが……」
「ええ、勿論。勿論です! 駄目で当然です。……でも、交渉してくださるってだけで、嬉しいんです」
「これはこれは巧人、"相談屋"の腕の見せ所だな」
「……善処します」
「もう、充希さんったら! プレッシャーかけないであげてください!」
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