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「本当、まるでとんだお嬢様にでもなった気分です。……お気遣い頂いて、ありがとうございました」
「ならば麗しのセニョリータ。甘味をより引き立てる暖かかなお茶はどうかな? 実のところこれはだね、ひとつ口にすれば驚くほど団子が食べれるようなるんだ!」
じゃーんという効果音でも出しそうな充希に、栃内が楽し気に笑む。
「なら、そのお茶があればみたらしだけじゃなくて、餡子も黒ゴマも、桜餅だって楽しめますね」
「そうさ。これで安心して、好きなだけ団子を堪能できるだろう? さ、冷めないうちに」
そう言ってペットボトルのお茶を栃内に手渡す充希に、俺は呆れ交じりの視線を向ける。
「どうしてあなたに任せるとそう、ただのペットボトルのお茶ですら仰々しくなっちゃうんですかね」
「おや、僕は何か間違えたかい?」
「いや、間違えたってワケではないですけども……」
「ならば問題ないな。さて、巧人はどの団子にする?」
「……じゃあ、俺は黒ゴマを」
「野際さんって、けっこう渋いのが好みなんですね」
「ああと、甘いものはそこまで得意じゃなくて……」
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