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怒りと憎悪。それと、微かな失望に顔を歪ませた青年に、俺は「……もしかして」と眉を顰める。
最近死んだ"VC"といえば。
「キミは、須崎……蓮くんの、友人か」
「……なんだ。覚えているじゃないですか」
青年の声に、微かな安堵が滲む。
が、今度は捲し立てるようにして、
「ねえ、どうして蓮を殺したんです? 女を二人"吸血"したから? まさか。そんなチンケな理由じゃないですよね。どうして、なんで、蓮を殺さないといけなかったのか教えてくださいよ」
「……何か勘違いしているようだけど、蓮くんは心臓発作で亡くなったんだ。僕はもちろん、誰も殺してなんて……」
「殺したんだよ」
はっきりとした断言。
向けられた双眸に、黒い闇。
「蓮が心臓発作? そんな嘘、僕は騙されませんよ。だって蓮ですよ? 蓮が噛んだあの日、朝まで一緒にいましたけど、ちょっと寝不足なだけで、いつも通り元気だったんです。病気だってない。なのに、いきなり心臓発作なんて、起きるはずない」
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