28人が本棚に入れています
本棚に追加
自決しようとした俺に、青年は分かりやすく動揺していたし、まあ充希に伝わらなくとも隙を見ていいように逃げてくれれば……程度の期待だったのだが。
「助かりました。ありがとうございます」
あまりに鮮やか過ぎた足掛けに礼を告げると、充希は誇らしげに胸を張って、
「なに、僕は巧人の助手だからね。これくらい造作もない」
「……助手"見習い"ですけどね」
「ああ、そうだったな。だが今回は、大幅なポイントアップになっただろう? 僕がキミのワトソンを名乗る日も、そう遠くないはずだ」
いや、てかその前に、あなたはウチの社員じゃなくて"本業"があるでしょうに……。
「――くそっ! はな、せっ! はなせよヒト殺しっ!!」
脚の下で、乗り上げた背が必死にもがく。
俺は逃すまいと慎重に力を込めて、
「もうすぐ警察がくる。大人しくした方が、キミの為にも……」
「うるさい! うるさいうるさいうるさいっ!! 殺してやる! アンタも! ソイツもっ……生き残りやがったあの女も!」
「!」
青年が無理やりに首をひねって、憎悪に満ちた目で俺を見た。
最初のコメントを投稿しよう!