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「テメエは傷害および銃刀法違反の容疑で逮捕する。詳しい話は、警察署でゆっくり聞かせてもらうかんな」
細い手首にかけられた手錠が、カチャリと金属音を響かせた。
「って、おい?」
清が疑問の声をあげたのは、青年が抵抗したらからではない。逆だ。
脱力した彼は清が引っ張り上げるも立つことすらままならず、青ざめた唇は「ぼくがぼくが殺したどうしてぼくはぼくだけだっていってたのにぼくはまもれなかったころしたのはぼく」と壊れた機械人形のようにわなないている。
どこを映しているでもない、虚ろな視線。
青年の明らかな異常に眉根を寄せた清は、
「おい、コイツに何をした」
睨みつけるような眼光を受けた充希は、困ったように肩を竦め、
「僕なりに巧人の援護をしただけさ」
「だから、何をしやがったんだって聞いてんだよ!」
「なに、友好的な対話によって彼の"思いこみ"を正しただけさ。まさかそうも"壊れて"しまうとは……彼の愛は随分と根を張っていたようだな。僕からすれば、羨ましい限りだ」
「……話をしただけで"こう"なったってことかよ」
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