哀しき復讐と未練

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「そうなるな。ああ、少しばかり僕の脚が"お転婆"だった場面もあったが、彼を構築する歯車を狂わせるほどの効力はなかったさ」 「……おい」  本当か。そう問う懐疑的(かいぎてき)な視線が、俺に向いた。  ゆっくりと立ち上がった俺は、静かに頷く。 「嘘はないよ。俺が保証する。拘束されてた充希さんを解放させるのに少し協力してもらったけど、まだ彼に変化はなかったし……"そう"なったのは、充希さんが話をしてからだ。後でこの周辺のカメラを確認してくれれば、分かるはずだよ。どこかには残っているだろうし」 「……テメエに言われなくても、確認するに決まってんだろ」  納得してくれたらしい清は、懐から白いハンカチを取り出すと、片手で器用に青年のナイフを掴み上げた。 「これだけか?」 「ああ、あっちのは俺のだ」 「見りゃわかる。どーせコイツには使ってねえんだろ」  吐き捨てるような確認に、「ああ」と苦笑交じりで首肯する。と、清は舌打ちをして、 「そんなんだから、いつまで経っても戻ってこれねーんだよ」  俺は俺なりに、今の"任務"を気に入っているのだけれど。
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