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"吸血痕"を確認するように伸ばされた掌から、鮮血が溢れ、アスファルトを染めた。
(――しまった)
「キミ! 立てるか!? 止血をするから早くこっちに……っ!」
叫ぶ俺への退路を断つように、須崎が遮り立つ。
「あーあ、興ざめだよ。せーっかく楽しいゲームの最中だったのにさ。あのねえ、ボク。別に人の性癖に口出しする気ないけど、自分で言ったようにせめて空気は読まなきゃ。自分勝手が過ぎると、痛いめ見るよ? 今みたいにさ。ね、だから次からは気を付けてね。おにーさんと約束。……まあ、次があればだけど」
キミはどっちかな。そう言って赤い瞳が愉悦に細む。
(っ、俺のせいだ)
危険人物だと、分かっていたのに、新たな犠牲者を出してしまった。
彼の命を奪ったのは、俺も同然だ。
(っ、皆はまだか。早く、早く来てくれ…………っ!)
自責の念に奥歯を噛み締め、そして叫ぶ。
「キミっ! こっちへ! 止血を!」
今、出来ることをしなくては。
そして願わくば、彼の命だけはどうか――。
「…………あーあ、噛んでしまったね」
俯いていた彼が、零すように呟いた。
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