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よかった。これなら彼女も、安心して外に出られるだろう。
俺は心からの安堵を祝福の笑みに乗せ、
「許可をもらったので、退院祝いのケーキを持ってきました。一日早いですけど、明日はゆっくりお祝いできるような時間はないと思うので」
「わあ、嬉しいです!」
充希に小箱を任せ、蓋を開いて栃内にケーキを選ばせる。好みがわからないからと、カットケーキを数種類買ってきたのだ。
二人が声を弾ませながら選んでいる間に、窓際に置かれていた小型の長机と丸椅子を移動する。
それから百円ショップで購入してきた紙皿と使い捨てフォークをそれぞれ三つずつ並べて、透明な使い捨てコップをその傍らへ。
「選べました?」
「えと、じゃあ、このイチゴとベリーのタルトを頂いてもいいですか?」
「これですね。えーと……ちょっと待ってください」
残ったフォークを二つ使い、慎重に紙皿へと移動する。
続いて充希がガトーショコラと決めたので、俺はモンブランを選んだ。
充希が栃内に着席を促す。それから俺の隣で、長方形の小箱の蓋を開けた。
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