最後の逢瀬

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「僕からはシャンパンを贈ろう。お堅い警察もにっこりの、安心安全ノンアルコール。まあつまりは気分だけだが、パーティーにはシャンパンがつきものだろう?」 「わあ、私アルコール苦手なので、助かります」 「おや、なら僕は思いがけず素晴らしい選択をしたな。主役が楽しんでこそのパーティーだからね」  言いながら手で栓を開けた充希が、栃内のコップにシャンパンを注ぐ。  しゅわしゅわと音を立て、桜色よりも少し濃い、ラズベリーよりは柔らかな桃色の液体が気泡を躍らせた。 「わあ、綺麗な色…………」 「だろう? 今日のキミの唇と同じ色だ。美しい」 「ふふっ、初めて挑戦した色なんです。この服も、いつもは選ばない色だったんですど、ちょっと思い切って。変じゃないですか?」 「まさか! もちろん、キミの好みは一番に尊重されるべきだが、じつによく似合っているよ。なあ、巧人?」 「はい。いつもより元気そうに見えますし……すみません、充希さんみたいに女性を誉めるのに適した言葉をあまり知らないくて。でも本当に、素敵です」 「だろう? 僕らが言うのだから、間違いないさ」
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