朝焼けの真実

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朝焼けの真実

 急く気持ちを必死に押さえつけながら、薄暗い入院病棟の廊下を足早に進む。  空気が冷たい。それに、患者はみな寝静まっているというのに、どこか落ち着きのない気配。  ――それもそうか。  人が死んだんだ。それも、"ヴァンパイアキラー"が一枚かんでいる。  目的の病室を視界に入れ、俺は自嘲気味に口角をつり上げた。  扉横には見知った顔。清だ。そうだろうと思っていた。  全ての事情を知ったうえであの人を"護衛"出来る隊員は、ごくわずかだ。 「……八釼さんは?」  これまで着用していた警備服ではなく、スーツ姿の清は前を見据えたまま、 「戻った」 「……そうか」  俺は視線を閉じられた扉へと向ける。  静かだ。それなのになぜか、わかってしまう。  ――あの人が、呼んでいる。  腹底から這い上がってくる、緊張、後悔、それからたぶん、苛立ち。  俺は導かれた操り人形のように、扉に手をかけた。刹那。 「!」  息を詰めたのは、清が俺の手を掴み、止めたからだ。  驚愕に視線を跳ね上げた俺を、赤い瞳が射貫く。 「俺サマが行ってもいいんだぞ」 「っ」  驚いた。いや、清なら言うか。
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