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「……カツ丼のことですかね。随分と昔にそうした人がいるって話は聞いていますけど、取り調べ室で被疑者に水またはお茶以外の飲食物を提供するのは禁止です。それと、今俺達がここにいるのはあくまで『重要参考人としての事情聴取』ですし……もっとも、それも今となってはただの建前ですが」
あの"ヴァンパイアキラー"が、日本にいる。
その情報は直ちに警察庁へと報告され、現在、政府を交えて緊急会議の真っ最中だ。
それもそのはず、この隣で不貞腐れている青年――もとい、充希・モレッティという"ヴァンパイアキラー"は、国が国なら王に次ぐ最高ランクの国賓として扱われる。
理由は単純。そう簡単には"死なない"彼らをその血で容易に討伐してみせる、唯一だからだ。
なかには俺には一生かかってもお目にかかれない額を提示して、"勧誘"及び"雇用"をしていた国もあるらしい。
つまり、粗相は禁物。場合によっては、俺の首が飛ぶどころか国際問題にまで発展しかねない。
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