ヴァンパイアキラーとの契約

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「なに、僕は別に"ユダ"の審判をしようってんじゃない。言ったろう? キミと僕は同じだ。僕はただ、同志との会遇を心から喜び、分かち合う為に自覚を促したにすぎない。……せっかく見つけたんだ。僕はキミの敵になりたくはない。だからこそ、巧人にとってのあらゆる障害は排除する。僕にはそれが出来るのだよ。僕の担う"ヴァンパイアキラー"という存在はね、キミが思っている以上に力を持つからね。それこそ、僕の意思とは関係なく」  どこか悲し気な双眸が、戸惑う俺を柔く映す。 「信じるか否か、決めるのは巧人自身だ。キミの"解放"に必要だったとはいえ、確かに彼女の件は騙し討ちのような形になってしまったからね。信じてくれと告げた所で、軽薄に聞こえるだろう。だが僕は誠意を持って、真実のみを口にしている。願わくば、巧人。"任務"ではなく"私意"として、僕を受け入れてくれないか。その場しのぎの偽りではなく、唯一無二のパートナーとして、この手を取ってほしい」  懇願するように差し出された、傷一つない青年の掌。  頼りなくも思える外見に反し、この手は、多くの血に触れてきたのだろう。 「巧人、僕はね」
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