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「巧人、キミは誤解をしている。僕は"仕事"で"ヴァンパイア"を狩っているわけじゃない。僕にとって"狩猟"と"救済"は、果たすべき義務なのだよ」
「それは……あなたが特別な血を持つ、"ヴァンパイアキラー"だからですか?」
「そうだね。その回答は――巧人の返答次第だな」
にんまりと三日月をかたどる瞳は、明らかに俺の決断を愉しんでいるそれだ。
怒ってもいい……のだろうが、怒りよりも諦めが勝った俺は、首に手を当て嘆息した。
ここまで用意周到にお膳立てされてしまえば、返答など決まっている。
いや。本当はずっと前から、俺の心はとうに答えを出していたのだろう。
(世界に名立たる"ヴァンパイアキラー"と組むだなんて、なにが起きるがわからないもんだな)
まあ、これまでの過去において、一度も想像通りになったことなどないのだけど。
「俺は、生きなければならないんです」
唐突に切り出した俺を、少し驚いた眼が映した。
が、直ぐに真剣みを帯び、無言で先を促す。
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