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「けれども姉さんは、"VC"として生き残った。男の悪事は暴かれ、今はまだ塀の中ですが、いずれは出てくるでしょう。……姉さんは、死にました。五年前に、ビルの屋上から飛び降りたんです。事故で死んだ両親や、俺や……帰りたいと望んだ日々の写真を"重り"にして、俺に"生きてね"と遺し、この世から飛び立った。……あなたの言葉を借りるのなら、俺は姉さんの"未練"になれなかった。だからこそ、せめて姉さんの遺した願いは……何が何でも叶えようと、決めたんです」
「なら僕は、巧人がその"選択"を全うできるよう、僕が成し得る最大限の手助けをしよう。パートナーとして、キミの背は必ず守る。悪い条件ではないと思うが?」
「……護衛対象がボディーガードの背を守るってのも、おかしな話ですけどね」
「なに。共に無事であれば、問題あるまい」
「まあ、そうですけど……」
めちゃくちゃだ、と思うのに、納得してしまう自身もいる。
そう、俺は矛盾的だ。直そうとも思わない。
ここまで足掻いたのだから、そろそろ、いいだろう。
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