ヴァンパイアキラーとの契約

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 俺の気配を悟ったのだろう。充希は再び、右手を差し出した。  俺もまた、右手を持ち上げ、自分よりも一回り小さな掌を握りしめる。 「――交渉成立、だな」  鋭利な口角がクツリと上がる。 「これからよろしく頼むよ。優しく有能な"パルトネル"」 「……パルトネル?」 「相棒、という意味さ」 「ああ……相棒というよりは、正式なお世話係任命って感覚のが強いですけど」  結局、こうして俺が彼の手を取るまで、全て充希の計画通りなのだろう。 (最初から、俺は充希の掌で踊るピエロだったってわけだ)  握る掌に消化不良の怒りと不満を力いっぱい込めてから、手を放す。  充希は可笑しそうにクツクツ笑いながら「巧人の愛は痛いな」と肩を竦めて、それから「さて、答え合わせといこうか」と簡易椅子に腰かけた。  ゆるりと足を組む。 「僕がどうして、"ヴァンパイア"を狩るのか。それは僕の果たすべき義務だから、と答えた。そう考えるに至ったのは、単に僕の血が特別だったからじゃない。――"V-2"を生み出し、この世にばら撒いたのは、僕の祖父だ」 「――な、んだって?」
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