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そんな"爆弾"に好んで近づく者もなく(まあ、そもそも皆忙しく駆け回っているのだが)、絶賛正体を明かした俺は特異機動隊の本部で、彼と共に会議の終了と指示待ちだ。
"取り調べ室"に通されたのは、現状、警備面を鑑みてここが一番"安全"だからだ。
「そうか……昔、母に聞いてからずっと、いつか食してみたいと思っていてね。とんだ好機に恵まれたと思いきや、しょせん、幻は幻だったか」
「……ご所望でしたら、部下に言って用意させますよ」
「禁止なのだろう?」
「貴方は被疑者ではなく、この国の"ゲスト"ですから」
ご機嫌取りのそれらしい言い訳で"可能"だと示唆すると、彼はちょっと悩んだ素振りをしてから、
「……ふむ。有難い提案だが、僕にはそれよりもお願いしたいことがある」
「なんでしょう」
「そのかたっ苦しい口調をやめてくれないかい? ええと、確か巧人と言ったかな。あの道の上ではもっとフランクだったろう?」
「……それは、貴方様が"そう"だと知らなかったからで」
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