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それが、充希を"生"に縛り付ける"呪い"か。
彼はその身を、その血をもって、全ての"ヴァンパイア"を殲滅させようとしている。祖父の"奇跡"を、償うために。
なんとも悲しく、途方もない。
「……そんな重要な真実を、俺に話してよかったんですか。場合によっては、世界に狙われますよ」
「巧人は僕を信用し、その過去を打ち明けこの手をとってくれたのだろう? 親愛なる相棒の告白には、僕も最大限の誠意をもって応えねば」
「そういって……俺に責任を放り投げているだけじゃないですか。不用意に真実を教えられてしまった俺の立場にもなってくださいよ」
「ふふ、それはすまない。しかし過去の巧人もまた、強制的にその生命線を僕に委ねていたのだがね」
「…………」
あれか。充希の警戒を解こうと、この国の裏事情だーとそれらしく話したやつか。
反論できない俺に、充希はしてやったりという風に笑んだ。
俺は小さな反撃心から唇を尖らせ、
「充希さんの秘密を知ったのは、あなたの"パートナー"としての俺です。特異機動隊員としての俺は、何も聞いていませんから」
「それはいい」
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