そうして彼は悠然と微笑んだ

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 こうして直接誰かがくるのは、極めて珍しい。 「……自分はいけねーからって、江宮のヤツがうっせえうっせえ」 「ああ……この首のこと、心配させちゃったからな。江宮にも大丈夫だって伝えておいてくれるか?」 「んなことわかってんだよ。つーか、いくらアイツがうるせえからって、それだけで俺サマが来るわけねえだろ」  と、清はカップをソーサーに戻し、 「アイツ、死んだぞ」 「アイツ……? それって誰の――」  刹那、俺の脳裏に彼が浮かんだ。 「まさか、アイツって……俺と充希さんを襲ってきた、あの彼か」 「ったりめーだろ。他に誰がいんだよ」 「っ、どうして」  清はチョコレートの包みをピッと口で破って、 「しらねえ。なにも残さねえで、急に死にやがった」  苛立ちの混じる歯が、口内でがりりとチョコレートを噛み潰す。 「急にってことは……脳梗塞とかか?」 「ちげえ。アイツ、ガチでしばらく"あの状態"で、取り調べるにも会話すら成立しなくてクッソ面倒だったくせに、五日目くらいから急にまともになりやがった。演技じゃねえ。精神鑑定でも白だ。疑いなく、正気に戻りやがったんだ」
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