そうして彼は悠然と微笑んだ

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「今回はいつもとがちげーだろ。調書だって細けえ。ただでさえめんどくせえのに……。おい、他になんか食えるモンねえのかよ」 「他? ああー……バームクーヘンでよければ、小袋のやつが上のデスクにあるけど」 「僕がいこう!」  ソファーから華麗に飛び降りた充希は、二階へと続く階段へと駆け寄り、 「なあに心配ない。僕はそれこそ毎日この場を訪れているし、過ごす時間も巧人と同等だ。おまけに日々の観察により巧人のデスクは熟知しているし、先ほども告げた通り甘味には目がない。つまりキミの疲労を癒すバームクーヘンを見極めるには、僕がいっとう向いている。安心して任せたまえ!」  意気揚々と階段を駆け上がっていく充希の背に、「転ばないように気を付けてくださいよー」と注意を飛ばすと、「問題ない!」と返ってくる。  ドタバタと響く足音を聞きながら、 「……いつも"ああ"なのか?」 「まあ、これくらいならマシな方かな。実害ないし」 「……帰る」 「あれ? バームクーヘンはいいのか?」 「戻って来たアイツの相手をするのがめんどくせえ」  残ったコーヒーを一気にあおった清が席を立つ。刹那、
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