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自分もぶんも同様に。充希は短く礼を告げると、早速とバームクーヘンを口へと運んだ。
途端に頬を綻ばせ、「実にコーヒーと良く合うな」とご機嫌顔だ。
(……スーパーで適当に買ったやつなんだけどな)
「……充希さんって、世界各国が奪い合う、あの"ヴァンパイアキラー"なんですよね?」
「そうだな。僕の知る限りでは、それは僕のことだろう」
うん。おそらく、というか確実に、そのバームクーヘンは世界の超VIPに出すような代物ではない。
けれども充希は世辞を抜きに美味そうにしているし、青年の面影が残るその容姿が相まって、"ヴァンパイアキラー"の名がどうにも不釣り合いに見えてしまう。
冷めたコーヒーを喉に通して、月に似た薄黄のそれを一口ぶん、フォークで切り取る。
「……そういえば」
呟いた俺に、充希が軽く視線を上げた。
俺はただなんとなく、ふと過った疑問を口にした。
「"ヴァンパイアキラー"って、充希さんが自分で言い出したんですか?」
「そうだな。僕が自分で名乗り、今もそう名乗っている」
「どうして"ヴァンパイアハンター"ではなく、"ヴァンパイアキラー"なんです?」
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