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どこか嬉しそうに目元を細める。
本当に、この青年があの"ヴァンパイアキラー"なのか。そう疑いたくなるような、あどけなさで。
と、突然。外が騒がしくなった。
扉が開かれる。入ってきたのは顎周りに髭を蓄えた、大柄な男だった。
身長だけではない。特異機動隊の特殊スーツを纏う身体は厚みがあり、瞳には意志の強さがらんらんと宿っている。
男の名は八釼勇。俺の上司で、特異機動隊長。ここの最高責任者だ。
八釼は彼に向かって「失礼致します」と低頭すると、
「ご挨拶が遅くなりまして、申し訳ございません。警視庁警備部特異機動隊長、八釼勇と申します。不躾で申し訳ありませんが、先ずは場所を変えましょう。このような所でお待たせしてしまった無礼をお許しください。こちらへどうぞ」
「僕はここで構わないが? 話し合いの"外身"など重要ではないだろう?」
「ですが……」
困惑に詰まった八釼を目だけで見遣り、俺は小さくため息をつく。
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