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「……各国がこぞって取り合う"超VIP"を"取り調べ室"でもてなしたなんて、他国に知られたら良くて大バッシング、下手すれば国際制裁ですよ。大人しく協力してください」
「こっ、麻野! おま、無礼は禁物だと先ほど――」
「ああ、巧人を責めないでやってくれ。この話し方は僕が頼んだ。そうか、それは気が回らなかった。同行しよう」
今度こそ席を立った彼をみて、八釼はあからさまに安堵の表情を浮かべた。
"瞳の感情をも殺す"と名高いこの人が、"対象"の前でこんなにも緊張をあらわにするなんて。
「巧人、キミも来るんだろう?」
……どうなんだ?
はたして同席しても平気な内容なのかと、眼に疑問をのせ八釼へと投げると、力強い首肯が返ってくる。
「……ええ、俺も行きます」
「そうか。なら案内を頼む。ええと、何処へ行けばいいのかな?」
「っ、応接室へ」
八釼の言葉に頷き、俺は「行きましょう」と先頭立って扉を開けた。
どこかご機嫌そうな青年が続き、その背を守るようにして八釼が歩を進める。
(……なんか、妙に懐かれてないか?)
脳裏で警告音がウォームアップを始める。
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