特異機動隊本部にて

8/14

28人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
 面倒なことにならなきゃいいが。  エレベーター内でセキュリティーカードを通し、最上階のボタンを押す。  降りて、閉じられたガラス扉の横。一部の隊員にしか通達されていないセキュリティーコードを入力し、カメラを覗き込んで虹彩認証を受ける。  甲高い電子音が響き、扉が開く。 「どうぞ」  俺達の動きに合わせ、頭上のカメラが動いた。  歩きながら視線で追っていた彼が、 「"連れ"の管理はあのカメラで?」 「それと、赤外線センサーによる感知で」 「ここから出る時は、今と同じ手順を?」 「ええ」 「なるほど。先程よりも随分と強靭な"(おり)"だ」  肩を(すく)めて茶化す彼の背後で、八釼が顔を強張らせた。  無理もない。今しがた会ったばかりでは、嫌悪を滲ませた糾弾に聞こえるだろう。  だがおそらく、彼はただ現状を楽しんでいるだけだ。  俺は嘆息交じりに、 「職業柄、いつ攻撃的な"VC"の襲撃を受けるかわかりませんからね。見ての通り、ここで働く隊員の多くは"N"ですから、安全面に対しては万全を期しているんです」 「だが決まった者しか入れないのだろう?」
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加