特異機動隊本部にて

11/14

28人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
「ですが、貴方様はかの"ヴァンパイアキラー"。そうもいかないでしょう。我々とて、貴方様の行動を制限するだけの"材料"を持ち合わせておりません。なので、ご相談を」 「ほう?」 「衣食住に関する面につきまして、こちら側で面倒を見させていただきます。もちろん、われわれ特異機動隊による護衛も。代わりに貴方様の"お仕事"につきましては、世間にバレぬよう内密に活動頂きたい。また、治療薬開発の為に日夜励んでいる研究チームに、少量で構いませんので血の提供をお願いしたく」  いかがでしょうか。先程までとは打って変わり、国を背負う強固な瞳が青年を捉えた。  ただの一般人なら、即座に怯んで頷くであろう重圧。  が、青年は呑気に「うーん」と逡巡し、ぐるりと弧を描いた双眸を戻して、優雅に足を組んだ。 「国民を守るのは"国"の義務だ。そしてその方針は時々によって変わる。ただの"渡航者"である僕が、国政に口を挟むつもりはないからね。出来る限り表沙汰にならぬよう善処しよう。それと血の提供についても、喜んで協力させてもらう。一刻も早い"ウイルス撲滅"は、僕の願いでもあるからね」 「……そうですか」
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加