特異機動隊本部にて

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「大丈夫です。二十四時間体制での護衛は経験がありますし、それに報告義務が少し増えるだけでしょう? 本人も"監視"されている自覚ありっていうなら、やりやすいですし。持ち帰って上と揉めている間に好き勝手されても困りますし、俺も、かの有名な"ヴァンパイアキラー"には興味があります」 「っ、しかし」  八釼の迷いを遮るように、彼が笑顔で起立した。 「そうこなくては。交渉成立だな。後は上手いこと説得しておいてくれ」  差し出された右手。八釼の「本当にいいのか」と問う瞳に、俺は大きく頷いた。  八釼はそれでも迷いを見せたが、腹をくくるかのようにきつく目を閉じてから、ゆっくりと手を差し出した。  傷ひとつない、やや節ばった掌に、歴戦の痕を残す肉厚な掌が応える。 「……くれぐれも、良識ある行動をお願いします」 「なあに、そう釘をささんでも悪いようにはしないさ。巧人、キミは良いボスをもって幸せだな」
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