ヴァンパイアキラーの講義

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 独立型のアイランドキッチンに、四人掛けのダイニングテーブル。揃えられた家電はどれも人気シリーズの最新型で、傷一つなく光源を反射している。 「なんだ、ここは巧人の家ではないのか?」  ソファーに腰掛けクッションの一つを抱きしめながら、彼が不思議そうに首を傾げた。  俺は窓際に寄り、狙撃者や密偵が好みそうな建物をチェックしながら答える。  ……周囲の建物、全部下じゃねえか。 「いえ、間違いなく今日からここが俺の家ですよ。職場の都合上、これまでも新宿に住んではいましたが、ワンルームタイプのアパートを借りていました。さすがにあの家で男二人は手狭でしすし、わざわざ上が用意してくれるって言うのだから、お願いしたんですがね。……そりゃ、多少豪華になるとは思ってましたけど、正直、ここまでとは」  いやでも、同居相手は国賓級の超VIPだ。そう考えれば、当然の処遇なのだろう。  西新宿の、高層マンション。監視システムは勿論、二十四時間体制で警備員も立ち、カードキーに登録されたフロアにしかエレベーターは停止しない。  プライバシー保護もばっちりだ。
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